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医療用途におけるパリレンの熱特性評価

医療技術が次世代の救命機器へと進歩するにつれて、これらの機器を構成するコンポーネントやアセンブリに正しい材料を確実に使用することが不可欠となっています。機器が使用される環境条件や必要な製造工程とともに、物理的特性、生体適合性、熱特性などの材料の能力を考慮しなければなりません。パリレンコンフォーマルコーティングは、救命医療機器の保護に広く使用されており、その性能と信頼性に不可欠な、卓越した熱特性を提供します。この記事では、パリレンの熱特性の評価を見ていきます

連続曝露
パリレンの24時間および10年間の高温曝露に対する耐久性は、従来、Kirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology1に掲載されている評価に基づいています。図1のチャートは、パリレンN、C、Dの結果データを示しています。この評価方法はかなり複雑で、引張試験片の破断点を温度に対する時間の対数としてプロットし、さらに10年間の使用まで外挿する必要があります。このデータは、高温への連続的な曝露を評価するのに最適ですが、これを使用しても、短期的な熱曝露を正確に予測するのは困難です。
熱重量分析 (TGA)
数秒、数分、数時間の加熱プロセスには、熱に対する適合性を判断する、より良い方法が不可欠になります。熱重量分析 (TGA) は、短期的な耐熱性を予測する方法であり、ポリマー材料の熱挙動を評価するための業界標準となっています。TGAは、試験サンプルを精密に制御された方法で加熱しながら、計量を継続的に行うことによって実施されます。得られたグラフは、サンプルの質量と温度を単純にプロットしたもので、試験材料の熱的限界を明確に示します。

図2は、酸素を含む環境下でのパリレンNのTGA分析を示します。T5%と表示された値は、ポリマー評価で熱分解の開始を表すために使用される一般的な評価項目のひとつであり、5%の質量損失に対応する温度として定義されます。これは破断点というわけではありませんが、材料の耐久性の一般的な指標となるため、競合する材料を比較する際に使用できる基準点となります。空気環境の場合、パリレンNのT5%値は327℃です。TGA試験は窒素環境下(無酸素)でも実施され、予測通り、パリレンNの熱耐久性は著しく向上し、T5%値は480℃となっています。
エンジニアには、材料や設計の観点から考慮すべき多くのパラメーターがあります。TGAは、温度に関する懸念をよりよく理解するためのツールとなる可能性があります。環境および予想される温度変化が定義されれば、与えられたポリマーの適合性に関して予測を立てることができます。
パリレンの熱特性について、また次世代医療用途にどのような利点をもたらすかについては、SCSまでお問い合わせください。
1. Kirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology, John Wiley & Sons, Inc., Jan. 26, 2001.