コンフォーマルコーティング技術のパイオニアであり市場リーダーであるスペシャルティ・コーティング・システムズは、ParyFree®、Parylene HT®、Parylene C-UVF®、AdProシリーズ接着テクノロジーなどの製品と技術を開発し、コーティング業界における重要なイノベーターです。コーティング技術をさらに発展させ、先端用途へのコーティングの利用を拡大するため、SCSは過去50年にわたり、主要な産業界および学術界のパートナーといくつかのプロジェクトで協力してきました。

SCSのスイス拠点であるComelecは、スイス連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)と長年の戦略的パートナーシップを結んでいます。このコラボレーションにより、ALD+パリレンコーティングを含む多層コーティングの高度なハイブリッド成膜が可能になっています。ComelecとEPFLは、長期使用可能な能動埋込型医療機器(AIMD)の技術向上に焦点を合わせた継続的なプロジェクトで提携を続けています。

SEALANT
2020~2024年

SEALANTプロジェクトの目的は、ソフトカプセル化技術をAIMDに安全に適用できるようにし、特定の用途向けに、従来の金属製やガラス製のかさばる容器の使用をなくすことです。この技術は、既存製品の改良からオプトジェネティクス用の画期的なマイクロ光学インプラントの開発まで、さまざまなタイプのインプラントにおいてパフォーマンスが調査される予定です。

このプロジェクトは多層コーティング技術を利用し、パリレンと無機材料を何層にも重ねて、高度なバリア特性を実現します。従来のパリレンは医療機器産業において不可欠なコーティングとなっていますが、多層コーティングをAIMDに使用することはあまり検討されてきませんでした。SEALANTプロジェクトは、この高度なコーティング技術を利用して、より幅広い製品に適用可能な新しいカプセル化方法を生み出し、新しい埋込可能製品の開発を実現しています。

RELIEVE
2018~2021年

RELIEVEは、医薬品で一般的に生じるような深刻な副作用を伴わずに、神経調節を通じて慢性頭痛から患者を解放する生体電子工学的ソリューションを提供することを目指したものです。超小型で柔軟性のある埋込可能なRELIEVE生体電子工学システムは、患者の解剖学的構造に適合し、外来での短時間の処置で埋め込むことができます。これは、従来のかさ張るインプラントハウジング(金属製、ガラス製、セラミック製の容器)を、多層コーティング技術を用いた革新的なソフトカプセル化アプローチに置き換えることで、可能となりました。

慢性頭痛を和らげるバイオエレクトロニックソリューション

POSITION
2018~2021年

POSITIONの目標は、小型化、チップ内AD変換、無線通信、MEMSトランスデューサ技術、カプセル化などのオープン技術プラットフォームを導入することで、スマートカテーテルやインプラントの技術革新を可能にすることです。これらのプラットフォームは複数のユーザーや複数のアプリケーションに対応しています。カプセル化の課題に対処するために多層コーティング技術が利用され、次世代AIMDが実現しています。POSITIONについての詳細はこちらをご覧ください。

多層コーティングテクノロジー

XInoCaps
2017~2020年

XInoCapsは、EPFLとの共同研究により、高度なバリア特性を持つパリレン/無機多層コーティングを開発しました。これらのコーティングは、パリレンCと無機薄膜(ALDやPECVDプロセスによる)を組み合わせたものです。このプロジェクトにより、ハイブリッド多層コーティング装置プラットフォームの改良が実現しました。具体的には、EPFL Laboratory for Processing of Advanced Composites(LPAC)が多層構造の特性評価とモデリングを行い、機械的挙動とバリア性能の両方を向上させました。またEPFL Laboratory for Soft BioElectronic Interface(LSBI)では、フレキシブルなインプラントの開発に向けて、これらの革新的なコーティングを電気的に活性なデバイスに統合し、その性能を評価しました。さらにEPFL Swiss Plasma Center(SPC)では、プラズマ発生源の設計に焦点を当わせています。

最終的な目標は、あらゆるデバイスを低温でカプセル化するための多層スタックと手順を定義し、製品寿命と信頼性に優れた小型でフレキシブルな新しいバイオ医学インプラントの開発を促進することです。

ハイブリッド多層コーティング装置プラットフォーム

InForMed
2015~2018年

InForMedの目的は、医療機器の統合パイロットラインを確立することです。このパイロットラインには、微細加工、組み立て、カプセル化が含まれています。このチェーンの中核となったのは、Philips Innovation Servicesの微細加工・組立施設です。

新素材を加工して組み立てることができる工業用微細加工組立施設があることで、特にスマートで低侵襲な器具やポイントオブケア診断機器といった新興市場を実現することができ、まったく新しい市場の開拓につながりました。このパイロットラインは、技術コンセプトから大量生産、システム認可に至るまで、完全なイノベーションバリューチェーンに統合されました。さらに、バリューチェーン内の異なるリンク間での効率的な技術移転を保証するためのプロトコルが開発されました。パリレン技術はこのパイロットラインの一部であり、最終的な生体適合性カプセル化ソリューションを提供しました。

マイクロファブリケーション、アセンブリ、カプセル化を伴うチェーン